モンテッソーリ教育とは？

モンテッソーリ教育は、イタリア人の医師でありながら教育家であったマリア・モンテッソーリ(Maria Montessori)博士によって考案された教育法で、自主的な活動・実践的な学習・協調的な遊びを基本とした教育の方法です。

子どもの自ら自分を育てる能力『自己教育力』を最大限に発揮させる環境や教具（おもちゃ）等を用いて、生涯において学び続ける姿勢を持った自立した人間を育てる教育です。

モンテッソーリの教室では、特定の年齢層の子どもたちのニーズを満たすように作られた環境で、マリア・モンテッソーリ博士は、この種の教室での経験的な学習によって、言語、数学、科学、音楽、社会的により深い理解につながることを発見しました。

モンテッソーリの教室にあるすべての教材は、子供の発達をサポートし、子供の自然な興味と可能な活動とがマッチするように作られています。子供は自分の経験を通して、自分のペースで学ぶことができます。すべての人間に存在する自然な好奇心にいつでも応えることができ、生涯にわたる学習のための強固な基礎を築くことができるのです。

モンテッソーリ教育の原理

１．自立（Independence）

教室でのモンテッソーリ教育では、子どもを自立させ、自分でできるようにすることが常に目標とされています。これは、子どもたちに機会を与えることで達成されます。動く機会、自分で服を着る機会、自分でやりたいことを選ぶ機会、そして大人の仕事を手伝う機会です。

子どもたちが自分のことを自分でできるようになると、自分を信じ、自信を持ち、自尊心を高めることができ、それを生涯にわたって維持することができます。

“子どもが成功できると思っている課題を、決して手伝ってはいけない”

マリア・モンテッソーリ

２．観察

観察、つまり子どもを見ることは、親にとっては簡単なことです。私たちは、子どもたちがどのように楽しんでいるのか、どのように環境を探索しているのかを見るために、数え切れないほどの時間を費やすことができます。これは、マリア・モンテッソーリが子どもについて学び、子どもの発達についての理論を構築するためのシンプルな方法でした。先入観を持たずに観察することで、子どもたちが必要とし、興味を持つ教材を開発することができたのです。観察は、子どもが何を必要としているのかを大人が知るための方法でもあります。

例えば、子どもが物を叩き始めたら、それはその子が粗大運動を必要としているということだから、ドラム缶を与えましょう。子どもが部屋中の物を押していたら、歩く必要があるけれどまだ自分ではできないので、手伝ってあげたり、ワゴンを与えて押してあげたりします。このように、観察によって子どもの現在のニーズを満たしながら、調和を生み出すことができるのです。

３．子どもを追う

その子が何をしなければならないか、何を伸ばさなければならないか、どんな分野に挑戦しなければならないかを教えてくれます。ある対象物を使った作業を続ける子どもたちの目的は、確かに「学ぶ」ことではありません。

子どもたちの行動を観察して、彼らが必要としていることに従ってください。子どもが登りたがったら、安全な方法で登る機会を与え、過保護にならないようにしましょう。子供に従うということは、非指示的であるということでもあり、常に何をすべきかを指示してはいけません。子どもがやりたいことや必要なことを選択し、自分で行動する自由を与えましょう。

何をしなければならないかを指示するのではなく、さまざまな素材やおもちゃの選択肢を提示してあげましょう。子どもが本当に破壊的になり、自分や他の人を傷つけそうになっていない限り、常に介入する必要はありません。いつ介入すべきかを知ることは、親が子供を知り、親が子供に制限を設けていく中で学んでいくスキルです。

子どもたちは、自分の内面の必要性に引き寄せられているのであり、それを認識し、その手段によって開発しなければならないのです。

マリア・モンテッソーリ

４．子供を正す

子どもは間違いを犯します。何かをこぼしたり、意図せずに食べ物を落としたり…。そのようなときに声を荒げる必要はありません。むしろ、冷静に「ああ、水をこぼしちゃったね。」これは、子どもに何か有効な実践的作業をしてもらうチャンスでもあります。子どもたちは、大人がすることだと思っているので、片付けが好きだということがわかるでしょう。あからさまに指摘しなくても、子どもに気づかせる方法があります。

例えば、布製のスタイを使って、コップの飲み方を学んでいる子どもに、コップを少しでも早く傾けると、水がこぼれて自分にかかってくることを気づかせる。言葉を間違えても、訂正する必要はなく、正しく言ってあげることが大切です。子供を矯正すると、次の失敗を恐れて何もできなくなってしまうかもしれません。

子供たちは間違いを犯すものですから、私たちは優しく教えてあげる必要があります。子どもたちに自由と選択を与え、安全を確保してその選択をサポートし、子どもたちが理解できる方法で探究心を養い、子どもたちのニーズを観察してそれを満たすことが、子どもたちの可能性を最大限に引き出すための鍵となります。

５．準備された環境

準備された環境はモンテッソーリの重要な部分です。部屋は子供の大きさに合わせて、成功のための活動が設定され、自由に動き、選択できるようになっています。子どもが自由に探検できるように、環境は安全でなければなりません。環境は子どもたちのために準備され、整っていなければなりません。そうすれば、子どもたちは自ら仕事をするようになります。

モンテッソーリは「仕事」を、子どもが行う活動、あるいは多くの人が「遊び」のことを言います。モンテッソーリはこれを仕事と呼んでいますが、これは子どもが自分自身を創造することを通して行うものであり、単なる遊びではないからです。彼らの遊びは彼らの仕事であり、彼らはまだそれを楽しんでいます。大人の役割は、彼らが学ぶ環境を構築することです。子どもの成長は、子どもがいる環境に依存しており、その環境には親も含まれるのです。

教師の第一の義務は環境に気を配ることであり、これは他のすべてのことに優先します。その影響は間接的なものですが、それがうまく行われない限り、肉体的、知的、精神的などあらゆる種類の成果は効果的で永続的ではなくなります。

マリア・モンテッソーリ

６．吸収する心

モンテッソーリは、子どもたちが誰にも教わらずに言葉を覚えていく様子を観察しました。これが彼女の考えた「吸収する心」であります。3歳以下の子どもたちは、学ぶために授業を受ける必要はなく、環境の中で体験し、その一部となることで、すべてを吸収していきます。そのため、環境が整っていることが重要です。子どもは自分の意思に関わらず、環境から吸収していきます。

大人の言葉遣いは、子供はすぐに覚えてしまうものです。周りの人の言葉に気をつける必要があります。子供はまだ自分の意見を言うことができないので、聞いていないと思っていても、話せるようになった時に悪口を言われたら困りますようね。

だからこそ、子どもに “No “と言ってはいけないのです。不躾に “No “と言われても困るのです。その代わりに、子どもたちがやっていることが間違っていることを伝えるときには、「Stop」と言います。