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学習指導要領改訂で日本人は英語ができるようになるのか? 海外の外国語教育と比べて

海外からの日本人のステレオタイプは、「日本人は英語が話せない」と思われています。もし英語が話せた場合でも、「日本人なのに英語しゃべれるんだ」と揶揄されることもあります。

日本では、2020年から学習指導要領の改訂により、小学3年生(8~9歳)から外国語活動が始まるとともに、5年生(10~11歳)からは英語が科目として追加されることとなりました。これまでの学習指導要領では5、6年生のみが対象だった外国語活動が、小学校3、4年生を対象におこなわれ、英語教育が低年齢化されました。
では、海外ではどのくらいから外国語教育(英語等)を学び始めるのでしょうか?今回はヨーロッパ諸国とアメリカの外国語教育についていみていきましょう。

ヨーロッパでは早い外国語教育

ほとんどのヨーロッパの国々では、10歳になる前に学校で外国語を学ぶことになっており、6歳から9歳の間に必修科目として第1外国語の学習を開始します。早い国では、ベルギーが3歳から外国語学習を必修としています。
また、ヨーロッパの20以上の国では、第1外国語に加えて、第2外国語を少なくとも1年間学ぶことが義務づけられています。

https://www.pewresearch.org/fact-tank/2015/07/13/learning-a-foreign-language-a-must-in-europe-not-so-in-america/

学習指導要領改訂前の日本では、10歳で外国語教育がスタートするため、諸外国と比べやはり外国語教育を始めるのが遅いと考えられた結果、学習指導要領の改訂が行われたといえます。

どのような言語が学ばれているのか

外国語として英語を学ぶことを義務づけている国もありますが、義務づけていない国でも英語を学ぶ生徒の割合は全体的に高くなっています。次いでフランス語とドイツ語が多くの国で学ばれており、スペイン語とロシア語も一部の地域では外国語として広く教えられています。その他の言語を学んでいる学生の割合は、ほとんどの国で5%以下でした。

アメリカの外国語教育

第1言語が英語であるアメリカでは、どの教育レベルにおいても全国的な外国語教育の義務化は行われていません。
多くの州では、各学区が高校卒業時の言語要件を設定することを認めており、小学校では、外国語の授業を行う割合すら非常に低いのが現状です。
外国語の学習基準の中には、言語以外の授業を受けることで満たされるものもあり、例えば、カリフォルニア州では、すべての高校生に芸術または外国語(アメリカ手話を含む)のいずれかを1科目履修することが義務付けられています。オクラホマ州では、同じ外国語を2年間履修するか、「大学入学要件に認められたコンピュータ技術」を履修することができます。一方、ニュージャージー州の生徒は、高校を卒業する前に「世界の言語で少なくとも5単位」を取得するか、英語以外の言語に精通していなければなりません。
このように基準が異なるためか、英語以外の言語を話せると主張するアメリカ人で、学校でそのスキルを身につけたと答える人はほとんどいません。2006年の一般社会調査によると、英語以外の言語を話せると答えたアメリカ人は、わずか25%でした。第二言語を知っている人のうち、43%がその言語を「とてもよく話せる」と答えています。英語以外の言語に精通しているマルチリンガルのうち、89%が幼少期に家庭で言語を習得したのに対し、学校で言語を習得したと答えたのは7%であったとしています。多国籍民族であるアメリカは、学校よりも家庭内で英語以外の他の言語を学ぶ機会が多くあるため、このような結果になったと言えます。

日本人の英語の能力は?

株式会社講談社によって、留学や海外生活の経験がなく、日本の学校で英語を学んだ人20代~60代男女1,000人を対象に、英会話力についてのアンケート調査が行われました。
https://kyodonewsprwire.jp/release/201701057627
そこでの結果、「話すことも聞くことも問題なくできる」英会話力のある人はたった2.5%。話す力が「仕事ができるレベル」なのも2.2%。という結果でありました。
また、ETS(Educational Testing Service)による、TOEFL(Test of English as a Foreign Language)のスコアを見ても先進国の国々と比べて日本は下位に位置している結果となっています。(参考:https://origin-www.ets.org/s/toefl/pdf/toefl_tsds_data_2020.pdf)

昨年度から始まった学習指導要領改訂によって、はたしてどれだけの成果が得られるかが注目されます。また、それによって世界基準に近づくことが可能なのでしょうか。

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