2020年度に30日以上登校しなかった不登校とみなされた小・中学生は前年度より8.2%増の19万6127人となり、過去最多だったことが文部科学省の問題行動・不登校調査でわかりました。
この調査は文部科学省によって、全国の小中高の学校や教育委員会を対象に実施されました。
コロナ禍による一斉休校など生活環境の変化で、多くの子どもが心身に不調をきたしたことが浮き彫りとなりました。
不登校過去最多
不登校の小学生は6万3350人(前年度比1万人増)、中学生は13万2777人(同4855人増)いた。不登校生の55%が90日以上の長期欠席をしていました。
不登校の小中学生は2013年度から8年連続で増え、比較可能な1991年度の統計開始以降最多となりました。
主な不登校の要因は「無気力、不安」が46.9%と最多で、「生活リズムの乱れ、あそび、非行」が12.0%が続きました。
また、不登校ではないものの、コロナ感染を避けるため30日以上学校に出席しなかった小中学生は2万905人でした。
不登校の増加について文科省の担当者は一斉休校や分散登校などにより「生活リズムが乱れやすく、学校では行事なども制限されて登校する意欲がわかなかったのではないか」と指摘しました。
自殺者も過去最多
自殺した小中高生は415人となり、文科省が自殺の統計調査を始めた1974年以降最多となりました。
小学生は7人(前年度比3人増加)、中学生は103人(前年度比12人増)、高校生は305人(前年度比83人増加)で、女子高校生は131人(前年度比68人増加)と倍増していた。
自殺した生徒児童が置かれていた状況として、家庭不和や精神障害、進路の問題や父母からの叱責があったことが目立っています。
ただ、警察庁の統計では昨年度の小中高校生の自殺者は507人(暫定)ですので、学校側が把握できていないケースもあるとみられています。
自殺の背景として、家庭不和や親の叱責、精神障害はこれまでも多かったが、今回は前年度より件数が増えており、「コロナ禍で在宅の時間が増えたため、家庭内での息苦しさが増した」とみているようです。
いじめの認知件数は減少
一方、いじめの認知件数は7年ぶりに減少しました。
小中高と特別支援学校のいじめの認知件数は51万7163件で前年度と比べ15.6%減少し、深刻ないじめ(重大事態)も514件(前年度比28.9%減少)で共に減少しました。
コロナ禍で子供同士が物理的に距離があり、授業や学校行事、部活動が制限され、生徒同士の関わりが減ったことが影響したとみられています。